研修委託業務

課題別研修「エビデンスに基づく公衆衛生計画立案(A)コース」
 (2015年、JICA沖縄)


キーワード : エビデンス、公衆衛生、沖縄





当社では、JICA沖縄国際センター(OIC)が実施する研修員受入事業「エビデンスに基づく公衆衛生計画立案」を受託し、琉球大学医学部保健学科国際地域保健学教室との連携の下、2015年9月28日~10月8日まで11日間の研修プログラムを実施しました。

沖縄県はこれまで、多くの離島やへき地を抱えながら、また、第二次世界大戦後の医療従事者や医療施設が極端に不足した状況のなかで、公衆衛生計画に基づいた保健推進の取り組みを積極的に実践してきました。実践の成果は保健状況の改善へとつながり、「ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)」の次の国際開発目標である「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」の一つのターゲットとしても設定されたユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成を果たし、その後は「長寿県」として知られるようになりました。

「エビデンスに基づく公衆衛生計画立案研修」は、このような沖縄の経験を有用なエビデンス(科学的根拠)として捉え、沖縄県の経験を途上国の公衆衛生計画立案に資するものとして研修員に学んでもらうことを目的としています。

今回のAコースでは、アフガニスタン、イラン、モルドバ、フィリピン、タジキスタン、バヌアツの6ヵ国から、それぞれの国で公衆衛生の改善に係る実務に従事する計8名が沖縄に集い研修に参加しました。また、JICAが実施するグローバル人材育成事業の一環として、琉球大学医学部保健学科国際地域保健学教室の大学院生1名も研修に参加し、各国からの研修員とのコミュニケーションを通じて共に学び、グローバル人材としての能力を伸ばしました。

11日間の研修のなかで研修員たちは、講義や演習、沖縄本島を離れての宮古島への研修旅行、保健行政機関や医療施設での実際の取り組みの視察を行い、エビデンスに基づいた公衆衛生の基本原理を学び、エビデンスを公衆衛生分野に活用した計画立案の手法を身につけました。

福祉保健所や、離島・へき地医療を行う診療所、ハンセン病療養所等を訪問した宮古島での研修旅行の様子は、宮古島の地元メディア『宮古新報』でも報じられました。

研修員は、この研修での学びの成果を帰国後に自国でのそれぞれの業務に活かすため、活動計画をとりまとめ、琉球大学医学部を会場とした発表会において同計画の発表を行いました。

2016年1月にはアフリカより7ヵ国11名の研修員を招聘し、本研修のBコースを実施します。

コースリーダーとして開講式で挨拶をする当社スタッフ笠原 研修初日、付箋紙を使い自己紹介と研修への期待を共有する研修員 講義の様子 グループワークで視察先での質問事項等チェックリストを作成する研修員 沖縄本島を離れての研修旅行。宮古島の診療所を視察する研修員
平和祈念公園 平和の礎を見学する研修員 集団健康診断を視察し、会場内に掲示されていた健康教育教材について質問をする研修員 琉球大学での活動計画書発表会の様子 全ての研修日程を終え修了証書を手にした研修員と記念撮影