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医療機材管理と5S
開発途上国の保健医療施設における課題のひとつに、医療機材の維持管理がある。機材の設置・管理情報・廃棄、使用訓練・消耗品の調達、保守点検と修理などインフラや調達・運用予算が不十分な環境で維持管理は容易ではない。安全で効率的な医療機材の維持管理は先進国においても、気の抜ける問題ではなく、多くの関係者の努力により成り立っている実体がある。
片やJICAなどの努力により開発途上国の医療施設において5Sの導入が図られ、多くの医療施設では薬剤・医療消耗品・医療情報などが整理整頓され、医療の質や量の向上に貢献している。しかしながら、医療機材に関してはどうもうまく導入されていないことが、医療施設で見受けられる。医療機材は、人命の安全基準や結果の精度の高さを求められる特殊機器であること、専用の知識・操作を要する専門機器であること、家電製品のように大量生産のできない生産コストの高く医療のそれぞれの分野に特化された小さな流通市場の高額機器であること、そしてメーカーや専門代理店によってでしか保守が困難な高メンテナンス機器であることなどにより、医療施設内では導入から廃棄まで、管理責任が事務・倉庫、使用部署、保守部署などを行き来することがある。そのため時と場合により誰の管理責任なのかが明確でないことが生じ、各診療科と診療支援部署に配置されている機材の5Sの活動を、誰がいつどのように実施するか難しい状況になると考えられる。
そこで、まず基本的な医療機材の5Sの一般的な適用は以下の通りとする。
しかし、実際にはどのように行うかが分かりにくいところがあるため、医療施設内で大きく事務部署(事務・用度・薬剤・倉庫棟)、使用部署(医療・医療支援部署)、保守部署の3つの管理部署ごとの5Sの適用を以下に紹介する。
実際には3つの管理部署が協力して有機的に実施することが求められる。
前記の図はもちろん開発途上国のそれぞれの国や地域、そして医療施設によりその管理体制が異なるなど、すべてのケースにこの方法が適応できるわけではない。特に保守部署のないところもあり、その場合は代理店やサービス会社などの支援も必要とする。また言い方を変えれば、使用部署の医療機材を事務部署と保守部署がどのように支援して5Sを実施するとも言い換えられ、どうしても3つに分けなければならないというわけでもない。おおよその目安として参考にされること願います。
詳細は、https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jaih/28/4/_contents/-char/ja/からダウンロード可能です。
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