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キーワード:母子健康手帳、母子保健、インパクト評価、コミュニティ活動 アンゴラは長年にわたる植民地支配及び1975年の独立以降27年間続いた内戦の結果、経済・社会インフラが破壊され、2002年の内戦終結後10年を超える現在においても、保健指標は他の低中所得の国々と比較して劣悪な水準です。特に妊産婦死亡率と5歳未満児死亡率は、長い間世界の中で最も高い国の一つでした。高い死亡率の大きな理由は、母子保健サービスの利用率が低いことが関係しています。このような状況のもと、JICAはアンゴラ政府の要請を受け、2011年から2014年に、「ジョシナ・マシェル病院・その他保健機関の人材育成と1次医療の再活性化を通じた保健システム強化プロジェクト(以下、ProFORSA)」を実施しました。ProFORSAでは、日本の母子健康手帳の経験と知見を活かして、母子健康手帳の開発・導入を試験的に行いました。しかし、母子健康手帳の導入支援は試行的なものであったため、プロジェクト終了後、アンゴラ側による活動継続が難しくなりました。試行では、妊産婦の知識向上や保健従事者が健康教育に母子健康手帳を利用している等の肯定的な変化が確認されました。この結果から、アンゴラ政府から、母子健康手帳の普及の定着支援及び母子健康手帳を使用する医療従事者の能力強化を図るため、本プロジェクトが要請され、2017年5月から開始されました。 主な活動は、「母子健康手帳の全国導入と展開」「母子健康手帳の活用とモニタリング&スーパービジョン(M&S)の体制の構築」「コミュニティにおける母子保健手帳の知識向上の為の教育活動の実施」「インパクト評価の実施」です。 主な活動 「母子健康手帳の全国導入と展開」 ・ 母子健康手帳やマニュアル、ガイドラインの改訂手順を定める ・ 母子健康手帳の普及・活用に関する持続性を促進 ・ 全国展開戦略の策定 「母子健康手帳の活用とモニタリング&スーパービジョン(M&S)の体制の構築」 ・ 母子健康手帳のレビュー・改訂 ・ 母子健康手帳使用のための指導者研修、医療従事者研修を実施 ・ 母子健康手帳の配布 ・ 母子健康手帳導入後のM&Sの実施 「コミュニティにおける母子保健手帳の知識向上の為の教育活動の実施」 ・ コミュニティ啓発・母親学級に対する啓発ツール開発支援 「インパクト評価の実施」 ・ ベンゲラ州の10市を介入群、非介入群に分け、クラスター無作為化比較試験を実施 アンゴラ政府は、母子健康手帳の全国展開を目標にしています。様々な課題を一歩ずつクリアしながら、カウンターパートたちと共に、母子保健サービスの向上のために、日々活動しています。 ティーエーネットワーキングは、「アンゴラ国母子健康手帳を通じた母子保健サービス向上プロジェクト」に業務主任者/母子健康手帳政策、母子保健/栄養、研修管理/業務調整の3名を派遣しています。本プロジェクトは、合同会社サマウーマ・コンサルティングと共同で受託し実施しています。
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新母子健康手帳 母子健康手帳委員会(2017年10月) |