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キーワード:養魚、栄養改善、農村開発、住民参加型、マルチセクター エチオピア連邦民主共和国(以下エチオピア国)は、東アフリカに位置し、3000年の歴史を誇るアフリカ最古の独立国です。数年ごとに起こる旱魃などにより、多くの国民が飢饉を経験しています。保健セクターでは、子どもの死亡原因の90%以上が感染症と栄養不良に起因すると言われており、栄養不良の原因としては、タンパク・エネルギー栄養障害が主要なものと考えられています。また、動物性タンパク質摂取の機会が限られており、摂取率は他国と比較しても最低の水準にあります。このような栄養問題に対して、政府は「国家栄養プログラム」を打ち出し、保健、水産、農業、教育等の各省が連携して栄養課題に取り組むことを規定し、以下5つの戦略目標を掲げています。
「カタール川流域住民参加型養魚による栄養改善プロジェクト」では以下の3つのアウトプットを通して、対象村において養魚場の持続的な運営・維持体制が構築され、生産された魚が対象村住民に分配されることで、食の多様性が向上することを目指しています。 ①養殖に係る適正技術を対象村に移転し、住民主体の持続的な養魚池の運営維持管理体制を構築することで、村での魚の入手可能性を高める。 ②住民の栄養に関する知識の向上を図り、栄養に配慮した形で生産された魚が消費されることで村の食生活が改善される。 ③マルチセクターによる連携体制が構築され、対象村をモデルとした栄養に配慮した養殖事業をオロミア州内の周辺地域に普及させる。 対象村住民は、村の安定的な動物性タンパク質の供給源として、また将来的な商業化による村の現金収入源として養魚池の建設に大きな期待を寄せています。捕獲された魚は主に優先分配者に配布される予定で、現時点では優先分配者は5歳未満児、妊産婦、授乳中の母親とすることを想定しています。優先分配者を決定する際、住民間で協議を行い、住民間で同意するなど、住民参加型の取り組みに重点を置いています。 これまでに対象村において、プロジェクト推進の要となる「養魚委員会」「養魚池管理チーム」「栄養グループ」が設立されました。これらのメンバーとの綿密なコミュニケーションを図り、協働で今後の活動に取り組んでいく予定です。
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養魚委員会、養魚管理チームの発足会合 サバタ中央水産研究所での協力要請 |